研究概要 |
重合に使用する照射器は,フィルターで400nm〜550nmの波長に限定されたハロゲンランプが使用されてきた。これは,促進剤であるカンファーキンノン(以下,C.Q)と還元剤である第三アミンが400〜500nmの可視光線領域に吸光ピークを有しているためである。本研究においてC.Qの吸光ピークに一致したレーザーを使用し,重合挙動に及ぼす影響について検討を行った。 本研究に使用した重合開始装置は,473nmの波長を有する固体ブルーレーザー(HK5510島津社製)である。モノマーは,Bis-GMAとTEGDMAである。重合開始剤は,C.QとDMPTを使用した。 反応率の測定は,フーリエ変換赤外分光光度計(Shimadzu社製FTIR-4200)を使用した。DynamicDSC並びにTGは,熱分析装置DSC-50(Shimadzu社製)を使用した。 その結果,反応率は27%〜38%へと向上するが,光照射器での反応率62.4%よりもかなり低い値を示した。 熱分析では,これまでのBis-GMA/TEGDMA系のレジンと同様に200℃付近で気化と考えられる質量減少が認められた。この時の活性化エネルギーは109.7kJ/mol〜125,1kJ/molであった。 反応率並びに熱分析の結果,レーザー照射では,現在の重合開始剤の濃度では充分に反応が起こっているとはいえず今後の検討課題である。
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