研究概要 |
1. 試料の作成:矯正学的理由で便宜抜歯したヒトの健全な幼若小臼歯(30歯,可能な限り多くの歯を同一個体から得る)を,自動精密切断機・アイソメットを用いて培地(後述)を滴下しながら無菌的に歯軸方向に割断し,象牙質と歯髄を含む500-700μmの厚さの試料(象牙質・歯髄複合体試料)を作成した. 2. 刺激物質の調整:Prevotella intermedia ATCC25611株の乾燥菌体から得たリポ多糖(LPS)およびLactbacillus casei PCR 3002株の乾燥菌体から得たペプチドグリカン(PG)を刺激物質とした. 3. 試料の培養:10%ウシ胎児血清(FBS)を含むイーグルMEM(EMEM)培地に,2. で得たLPSまたはPGを加え.これに1.で得た試料を入れて,37℃,CO25%,湿度100%の条件下で最長30日間まで培養した. 4. 培養上清中における各種サイトカイン濃度の測定:2日毎に培地を交換し,培養上清中のVEGF,VEGFレセプター,インターロイキン(IL)-1,IL-6およびIL-8タンパクの経時的変化をELISAで調べた. 以上の研究結果から,本実験系で用いた象牙質・歯髄複合体培養系は,象牙質と歯髄両者の特性を合わせ持った培養系であり,種々のサイトカインがin vitroの条件下でどのような動態を示すかを知るうえで極めて有用な実験系であることが明らかとなった.現在,得られたデータを詳細に解析中である.
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