研究概要 |
従来の接着面積の大きい試験片でコンポジットレジンの歯質接着強さの経時的変化を観察するには、少なくとも3年という長期間を要することが報告(MF.Burrow etc,Dent Mater 12:302-307,1996)されています。我々は、佐野ら(1994)のMicrotensile test methodの利点に着目し、同一歯牙からより多くの試験片が採取できる様にレジン-象牙質接着試験片を碁盤目様に分割して、接着界面を単位面積1mm^2で解析する新しい実験方法を考案しました。 平成10年度は我々が考案した新しい方法を用いて、市販ボンディングシステムの象牙質引張り接着強さを測定しました。その実験結果は下記の通りです: 1) 同一歯牙の各象牙質局所間の接着強さにバラツキが大きく、象牙質に対する接着の難しさが示唆されました。(九州歯会誌32,1998.,J Dent Res78(2):699-705,1999にて発表済) 2) 表層象牙質及び髄角に近接する深層象牙質との引張り接着強は特に有意差が認められませんでした。(AADR.77 Abstrats:205(#798),1998にて発表済) 3) 予備実験として、水中保存3カ月後の接着強さは深層象牙質の場合のみ、有意に低下しました。(5th International Comference on Composites Engineering、1998にて発表済) 4)健全歯に比べて、う蝕罹患歯との接着強さは有意に低下しました。(接着フォーラム1999IN YOKOHAMAにて発表済)
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