研究概要 |
従来の接着面積の大きい試験片でコンポジットレジンの歯質接着強さの経時的変化を観察するには、少なくとも3年という長期間を要することが報告(MF.Burrow etc,Dent Mater 12:302-307,1996)されています。我々は、同一歯牙からより多くの試験片が採取できる様にレジン-象牙質接着試験片を基盤目様に分割して、接着界面を単位面積1mm^2として解析する新しい実験方法を考案しました。平成11年度に我々が考案したこの新しい方法を用いて、市販ボンディングシステムの象牙質引張り接着強さを測定しました。平成11年度の実験結果は下記の通り: 1)水中保存3ヶ月後の接着強さは、表層象牙質の場合、接着強の低下は認められません。しかしながら、深層象牙質の場合、水中保存3ヶ月後の接着強さは有意に低下しました。(Journal of Adhesive Dentistry、1999 vol.1 no.3にて論文掲載済) 2)当初の予想に反して、水中保存15ヶ月後の接着強さの低下は認められません。(2000年、第113回秋季保存学会にて発表予定) 3)健全歯に比べて、う触罹患歯との接着強さは有意に低下しました。(1999年、第111回秋季保存学会にて発表済) この実験手法は接着強さの長期的・経時的変化の観測に適していると考えられています。今後、引き続き長期保存試料の測定と共に、う触罹患歯との接着強さの解析を、今後の研究の重点に加える予定です。
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