我々は、歯周組織病変内の歯根表面および周囲組織の観察を目的として、ファイバースコープを試作開発し、臨床応用してきた。このファイバースコープは、術野の洗浄機能を備えた水流用チャンネルあるいは器具挿入用チャンネルを内蔵しているため、根管はもとより瘻孔や歯周ポケットから病変内を観察可能であり、術野をモニター上で観察しながら器具操作できる。 歯科臨床で観察不可能とされ想像と手探りで行っていた診断、処置を日常的に観察可能とするため、更に形態、構造、使用器具、適応性、手技の確立等について研究を進めている。また、外科的侵襲を最小限にするためのファイバースコープ観察下根尖掻爬術の術式の確立について検討している。 平成11年度の研究進行状況は次の通りである。 1、 プリズムを使用して観察視野を変え、側方を観察できる細径ファイバースコープの試作を重ねている。現在、根管内や歯周ポケット内への臨床応用の可能性について検討中である。 2、 外科的処置時の侵襲を最小限にするため、ファイバースコープ観察下で病変部の摘出、掻爬を行うために、ファイバースコープの形態、構造に改良を加え、試作している。また、鏡視下処置用のレーザーファイバー、ドリル類のファイバースコープ観察下根尖掻爬術への応用について検討し、さらに細径の電気メスを試作開発中である。 3、 ファイバースコープと手術用顕微鏡(マイクロスコープ)の使用適応範囲について検討をはじめており、現在は根管内への適応について検討している。
|