歯周組織病変内の歯根表面および周囲組織の観察を目的として、ファイバースコーブを開発したが、さらにその形態、構造、使用器具、適応症、術式の確立のために研究を行ってきた。平成13年度の研究成果は次の通りである。 1.フレキシブルタイプファイバースコーブ(先端部のレンズおよびイメージガイドをテフロンコーティングで保獲したファイバースコープ)を試作した。これは、従来のステンレス製外筒のファイバースコープと異なり、フレキシブルなため、観察対象部位が広がる可能性が高く、現在その有効性について引き統き検討中である。 2.器具挿入用チャンネル内蔵型ファイバースコープとそのチャンネル内挿入可能なロンググリップKファイルまたはクレンザーを使用し、瘻孔や歯周ポケットに挿入してファイバースコープ画像で確認しながら、病変内の対象組織を採取し、Kファイルやクレンザーをファイバースコープチャンネル内に引き込むことにより採取可能であることがわかった。この方法により、根尖孔外の病変内に存在する細菌の採取も可能であった。 3.ファイバースコープ下レーザー照射については、根管内では対象部位にレーザーファイバー先端の到達を確認しながらの照射が比較的容易であった。一方、瘻孔内、歯周ポケット内では、ファイバースコープ挿入方向が限定され、観察および冷却のための洗浄用水流により対象部位が軟組織であると動くため、接触照射が困難なことがあった。さらに術式の検討が必要である。 4.歯周ポケット、根分岐部病変の病変形態を再現した顎模型を使用した歯周ポケットからのファィバースコープ使用のデモンストレーション、トレーニングは有効であった.また、さらに病変形態を再現した瘻孔付根尖病変を持つ顎模型を開発し、その有効性を明らかにした。
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