研究概要 |
歯周組繊病変内の歯根表面および周囲組織の観察を目的として開発したファイバースコーブ(FS)について、さらにその形態、構造、使用器具、適応症、術式の確立のために研究を行った.研究成果は次の通りである. 1.器具挿入用チャンネル内蔵型FSには、Md : YAGレーザーファイバー、ロンググリッブのKファイルとクレンザー、電気メスチップが応用可能であった.レーザーによる根管内増殖肉芽の蒸散と止血、ロンググリップのKファイルによる根管の探索と穿通は、特に臨床上有効であった. 2.FSの外科処置応用の有効性が確認された.歯周ポケット、〓要孔あるいは微小切開よりFSを挿入して病変内部を観察し、掻爬対象部位を特定、術中や術後の確認ができるため、歯周ポケットや根尖周囲病変内の掻爬に有効であった.広範囲の切開や歯肉骨膜剥離、縫合が不必要であり、外科的侵襲が少ないため術後症状は非常に経度で術後経過も良好であった. 3.側方観察用FSにより、根管側壁、歯周ポケット内歯根表面の観察で従来型FSよりも鮮明な画像を得ることができた.また、画素数を10,000画素に増加した水流用チャンネル内蔵型FS(直径1.3mm)により、〓孔内、根管上部観察で鮮明な画像が得られ有効であった.さらに、先端部をテフロンコーティングしたフレキシブルタイプFSは、観察対象部位が広がる可能性が高く、その有効性について引き続き検討中である. 4.インジゴカルミン、トルイジンブルーなどの生体染色剤で染色すると、肉芽組縦などと歯質の識別、歯質の表面構造の把握がより確実となった. 5.FS面像とマイクロスコープ画像を比較検討し、根管の太さとテーパーの影響、画像の特徴を明確にした. 6.歯周病変および〓孔付根尖病変を再現した顎模型を使用し、FSデモンストレーション、トレーニングへの有効性を明らかにした.
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