研究分担者 |
小松 孝雪 北海道大学, 歯学部, 助手 (90271668)
井上 農夫男 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (20091415)
戸塚 靖則 北海道大学, 歯学部, 教授 (00109456)
佐藤 華織 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (40281828)
箕輪 和行 北海道大学, 歯学部, 助手 (30209845)
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研究概要 |
咀嚼筋の血流量の慢性的な低下が,筋組織内のエネルギー代謝に及ぼす影響を解明するために,7T横型超伝導磁石NMR(バリアン社)を用いて31Pスペクトルを適正に検出する方法の確立,およびラット下肢筋を対象とした慢性血流低下モデルの作製を試みた.血流低下モデルは,wister系雄性ラット(350〜400g)を用い,大腿深動脈と浅腹壁動脈の分岐部より中枢で結紮することにより設定した.組織血流量のパラメータとしては,組織内酸素飽和度(StO2)と総ヘモグロビン量(Hb)を用いた. 結果 1.直径25mmの表面コイルとATPsampleを用いて,1Hのスペクトルの半値幅を基準にして,shim coilの電流を調整し,磁場を均一にする操作(shimming)を行った.その結果,α,β,γ-ATPの3つのピークからなる31Pのスペクトルを得ることができた.しかし,ラットの筋組織への応用時には周囲組織からのノイズのため,十分なshimmingを行なうことが難しかった.この点については,今後のソフトの改良により対応可能と思われた. 2.ラット下肢血流量の測定に関しては,試作した固定具で血流計のプローブと測定部の位置関係を固定することにより,十分な再現精度を得ることができた. 3.動脈結紮状態を長期間持続させた場合,StO2は結紮後に約30%減少し,1か月後はその状態を持続していたが,2か月後には早いものでは回復が認められ,3か月後には術前の値まで回復しているものも見られた.総Hb量は,結紮直後に約70%減少し,約2か月その状態を持続していたが,その後回復傾向が見られた.このように,本研究から,約1〜2か月間の比較的慢性の筋組織血流低下モデルの作製が可能であることが示された.
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