研究課題/領域番号 |
10671816
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鈴木 哲也 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (60179231)
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研究分担者 |
石鍋 聡 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10232323)
渡邊 竜登美 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10230971)
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キーワード | 摂食嚥下障害 / 嚥下機能 / 咬合 / 舌運動 / 筋電図 / 圧センサ / 高齢者 |
研究概要 |
本研究は近年注目されている摂食嚥下障害のリハビリテーションにおいて、歯科の果たすべき役割を明らかにするために、嚥下機能と歯科的要因の関連を評価するシステムを開発し、さらに加齢変化との関連の解明を目的としたものである。咬合、舌運動、下顎運動、唾液、知覚といった歯科的要因のうち、本年度は咬合支持および舌運動に着目し、研究を以下の順序で行った。 1. 歯科的要因を考慮した非侵襲的嚥下機能評価システムの開発 2. 咬合支持および舌運動と嚥下機能の関連についての検討 本研究では、高齢者という嚥下機能の予備能力が低下した患者を評価することを考慮し、非侵襲的に嚥下機能と歯科的要因との関連を評価できるシステムを開発した。このシステムは、嚥下を遂行する顎二腹筋筋電図の測定を行い、同時に口蓋への舌圧を測定して、嚥下時の筋活動と舌運動を計測するものである。口蓋への舌圧は、被験者として上下全部床義歯装着者を予定していたため、上顎義歯口蓋部に圧力センサを埋入することで測定した。測定に際しては、一定量の水を口腔内で保持させ、合図とともに嚥下を行わせた。まず、若年有歯顎者にセンサを埋入した口蓋床を装着させて実験を行い、システムの安全性、有効性および再現性を確認した。 次に、高齢者のデータを採取するにあたり、反復唾液嚥下テストにてスクリーニングを行い、潜在的な嚥下障害がないことが確認された高齢上下全部床義歯装着者を抽出した。被験者の上顎義歯より作製した上顎実験義歯に圧センサを埋入し、よく調整した後、咬合支持がある場合と咬合支持がない場合において嚥下機能と舌運動を評価した。その結果、咬合支持がない場合において、顎二腹筋活動持続時間が有意に延長し、嚥下時舌骨運動が延長していることが示唆された。咬合支持の喪失は、円滑な嚥下運動の遂行を妨げる一因子と考えられ、嚥下機能の予備能力の低下を憎悪させる可能性が考えられた。
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