研究概要 |
歯科材料を臨床に応用していくためには,口腔内をシミュレートした腐食環境中で疲労試験を行なう必要があると思われる。口腔内をシミュレートするためには市販のものでは目的に合ったものが得られない。そこで腐食環境をつくるために新しい装置を製作し,実際に腐食環境中で疲労試験を行い,装置の評価とチタン会金の評価を合わせて行う。 初年度は,チタン合金試験片の製作,万能試験機による引張試験,腐食疲労試験装置の製作を行った。チタン合金は,主にTi-6A1-7Nb合金の試験片を鋳造により製作し,歯科用チタンとともに引張試験により機械的性質を調べた結果,Ti-6A1-7Nb合金は従求の歯科用チタンよりも強度が高く,破断伸びは同程度であることがわかった。引張試験後の試料の表面を光学顕微鏡と超高精度レーザ変位測定装置によって観察した。歯科用チタン,Ti-6A1-7Nb合金ともに延性破壊の断面が観察され,十分な延性を持っていることがわかった。観察した画像を光学顕微鏡用デジタルカメラでコンピュータに取り込み,学術講演会や学術論文の資料とした。これまでのフィルムに撮影して現像するという工程がなく,スムーズに資料が作成できた。また,腐食疲労試験用恒温槽を作成し,予備試験を行った結果,必要最小の容積で液の循環と温度管理ができ,試験片以外の金属部分との接触もない良好な結果が得られた。
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