研究課題/領域番号 |
10671823
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
永井 正洋 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (10013971)
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研究分担者 |
福田 秀昭 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (50014163)
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (70108223)
宮入 裕夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (50013892)
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キーワード | 接着ブリッジ / 接着性レジン / 接着強さ / 破壞靱性値 / 耐久性 / 繰返し負荷試験 |
研究概要 |
本研究では、市販の接着性レジン(SB,PV)を対象に、破壊靭性について、また、エネメル質、象牙質の歯質に対して、その接着面が負荷方向に影響されるかどうかについて、衝撃接着強さを対象に調べた。さらに、従来ブリッジのセメント層の破壊挙動を比較対照として調べるために、下顎臼歯部の架工義歯を想定したクラウンモデルの合着について、欠損歯部に偏心荷重を加え徐々に増加させたときに発生するセメント層の破壊挙動をクラウン表面に貼付した3軸ひずみゲージの測定結果から考察し、またクラウンモデルの軸面厚さ、鋳造用合金の違いによる影響について検討した。その結果、次の成果が得られた。フィラーを含有していないSBとフィラーを含有しているPVとを比較すると、接着強さはほぼ同様であった。しかし、破壊靭性値は、SBの値がPVの値の10倍以上を示し、かなりの差異が認められた。このように、破壊靭性値はフィラーの含有に大きく影響される。繰返し負荷試験の場合には、PVはSBに比べてき裂進展の速さがかなり大きいことが分かった。エネメル質においては、その方向性が接着強さに影響する。歯科補綴物の設計においては、セメント層の破壊を防止するためにクラウンの剛性が十分大きくなるように配慮し、軸面金属の厚みが0.7mm程度あることが望ましい。これらの基礎試験結果から、動揺度を考慮する接着ブリッジの長期寿命設計では、フィラー含有の接着性レジンは好ましくないことが示唆された。従って、接着性レジンの力学特性を十分に踏まえた上で、接着ブリッジに適正な接着性レジンを選択することが重要であることが分かった。
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