研究概要 |
義歯床用レジンとして主にポリメタクリル酸メチルが使用されているが、患者の違和感を少なくするためには床を薄くし、さらに義歯設計の自由度を拡大するためには義歯床用レジンの強度を高める必要がある.製作したレジン床義歯の性能は義歯床用レジンのポリマーの立体規則性、分子量、粒径および含有水分量に影響される.本研究では,目的とする機能を有するポリメタクリル酸メチルの製作を目的としている. メタクリル酸メチルを触媒,重合温度,重合時間などの重合条件を変えて得た重合体の構造をX線解析,FTIRなどの分析装置を用いて検討した.さらに,重合体を用いてレジン床義歯やレジンプレートを製作し,適合性や機械的性質について検討した.アイソタクチックやシンジオタクチックポリマーは結晶性ポリマーで,一般に使用されている非晶性のアタクチックポリマーと比べると物性や機械的性質などは優れている.重合したポリマーはほとんど非晶であったがアクリルモノマーに対する溶解性は低く、もち状態になるまでの時間が長くなった.また、ポリマー中に水分が含有しているともち状態までの時間が短くなり、製作した義歯の変色も見られた.従来の義歯床用レジンを用いて作製した義歯と比べて、本実験で製作したポリマーを使用して製作した義歯は適合性で約15%、曲げ強さでも約15%向上した.
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