研究概要 |
開始剤ラジカルの細胞傷害性を防御する抗酸化剤としてeugenol誘導体について検討してきた。本年度は2-allyl-4-X-Phenol誘導体(置換基X=Cl,Ph,MeO,MeCO,NO_2,t-Bu,Me,Br)の8種類の誘導体を合成し、ラジカル捕捉性をeugenolと比較検討した。Diphenylpicryhydrazyl(DPPH)の還元性を大きい順に並べると次のようになった。 MeO>eugenol>Me,Ph,>t-Bu>Cl,MeCO,Br>NO_<2.> 抗酸化効力も検討した。Me○(2-allyl-4-methoxyphenol)はeugenolと共に強い抗酸化効力を示した。一般にフェノール誘導体はアルカリ条件下でフェノキシルラジカルを生成する。MeOはeugenolと共にラジカルを生成した。これらの化合物を用いて、アゾビスイソブチルニトリル、過酸化ベンゾイル(BPO)の重合系でラジカル捕捉能力を検討した。これはメチルメタクリレートのDSC重合系より初期重合速度、誘導期間を算定する方法により行った。ラジカル捕捉能力はMeOがeugenolに較べ著しく大きかった。平成10年度に検討したEugenolの二量体Bis-EUGよりも大きかった。Me○は優れた抗酸化剤であることが明らかになった。
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