顎関節音の診査は、直視が困難な顎関節内部における障害の有無やその程度の診断に際し、重要な情報を提供するものと考えられており、聴診のみならず、電気的に音を採取したり、顎運動との同時記録による分析も行われているが、頭蓋下顎障害(CMD)の診断を確立するまでには至っていないのが現状である。 そこで、本研究では、前年度において、一般の臨床医でも簡単に顎関節音と下顎切歯点の運動を同時記録でき、また解析に時間を必要とせず、視覚的に顎関節音の発生位置とその性状を知ることができる顎関節音分析システムI(前年度申請設備)を開発した。本年度は、正常者50名、可触音を有するCMD患者50名、可聴音を有するCMD患者50名の顎関節音を記録後、正常か異常かを容易に判定できる顎関節音分析システムII(申請設備)を開発することにした。 結果は、以下の通りである。 1.全身および咀嚼系に異常が認められない正常者50名、可触音を有するCMD患者50名、可聴音を有するCMD患者50名を選択した。 2.顎関節音分析システムI(前年度申請設備)を用いて各被験者の顎関節音の分析を行い、正常者とCMD患者のデータから、正常域、可聴音域、可触音域を決定し、レーダチャートを作成できた。 3.次いで、各被験者のデータをレーダチャート上に重ねあわせ表示できるようにプログラムを作成できた。 4.これらのことから、正常か異常かを容易に判定できる顎関節音分析システムが開発できた。
|