研究概要 |
顎関節音の診査は、直視が困難な顎関節内部における障害の有無やその程度の診断に際し、重要な情報を提供するものと考えられており、聴診のみならず、電気的に音を採取したり、顎運動との同時記録による分析も行われているが、頭蓋下顎障害(TMD)の診断を確立するまでには至っていないのが現状である。 そこで、本研究では、一般の臨床医でも簡単に顎関節音と下顎切歯点の運動を同時記録でき、また解析に時間を必要とせず、視覚的に顎関節音の発生位置を知ることができ、さらに正常か異常かを容易に判定できるシステムを開発することにした。 コンタクトマイクロフォンと下顎運動記録装置を用いて、一般臨床の場で簡便に短時間で、TMD患者に多く認められる習慣性開閉口運動時の顎関節音と下顎運動を同時記録する記録システム、記録したデータから顎関節音の原波形、顎関節音の発生位置、顎関節音のパワースペクトルのパターン、累積周波数値,累積パワー値、50Hz〜500Hzまで50Hz毎に求めたパワー値、50Hz〜250Hzまで50Hz毎に求めたパワー値を算出する分析システム、さらに算出した50Hz〜250Hzまで50Hz毎に求めたパワー値をレーダチャート上に重ね合せ表示し、顎関節音の性状が視覚的に比較、表示、評価できるシステムが完成した。 本システムにより、TMDの診査、診断、治療において、顎関節音の定量的客観的分析を簡便に可能にし、病態を客観的かつ視覚化することが可能となった。
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