研究概要 |
平成11年度は病理組織学的、ならびに免疫組織化学的検討を行った。平成10年度の対象症例12例のうち、手術標本が保存されていた6例を対象とし、以下の諸点につき検討を加えた。 1.H-E染色による検討では6例全例について嚢胞壁表層に角化がみられた。上皮層は薄い例4例、やや厚い例2例であった。前者では4例全例で上皮突起はみられなかった。 2.免疫組織化学的(ABC法による)に各種ケラチン(10/13、8,10,18,19,20)、Ki-67、EGF、bcl-2,c-mycの発現を検討した。 3.各種ケラチンの局在については、ケラチン8は3例で上皮層に認められた。部位は上皮全層2例、基底層のみ1例であった。 4.ケラチン10は2例に見られ、全層1例、表層のみ1例に認められた。 5.ケラチン18は4例に認められ、全層1例、中間層のみ1例、表層のみ2例であった。 6.ケラチン19は2例に見られ、2例とも表層のみに見られた。 7.Ki-67、EGF、bcl-2は全例で発現が見られなかった。c-mycは1例のみ発現した。 以上の結果を臨床所見と比較検討すると、ケラチン10は年齢の高い症例にみられ、ケラチン18は若い症例に局在がみられる傾向と思われた。
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