研究課題/領域番号 |
10671874
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 憲 大阪大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (20127301)
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研究分担者 |
渥美 友佳子 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
生澤 操 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
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キーワード | モルヒネ / 耐性 / カルシウムチャネル / ω-conotoxinGVIA / N型カルシウムチャネル |
研究概要 |
今年度は主にモルヒネ耐性形成時における神経細胞のカルシウムチャネルの機能的変化に関する実験を行った。また平成5年度に報告した耐性形成時のN型カルシウムチャネルの量的増加に伴い、機能的な変化が生じていることを証明するための実験を行った。さらにN型チャネルの選択的ブロッカーによる中枢性鎮痛作用につきその可能性を探究した。主要な成果として、(1)マウス大脳皮質シナプス分画においては脱分極刺激に対する45Caの流入量がモルヒネ耐性形成時に22.4%増加していることを証明した。(2)45Caの流入はN型カルシウムチャネルに選択性の高いブロッカーω-conotoxin GVIA 10mMにより対照群で32.2%抑制されるのに対しモルヒネ耐性形成時には5.6%しか抑制されない。(3)GVIAの生体(マウス脳室内)投与により鎮痛作用が認められた。すなわち神経細胞刺激時のカルシウム取り込みの増加がモルヒネ耐性に重要な役割を果たしていることが新たに考えられ、このことはこれまで我々の、報告内容とも符合する。また耐性形成時にN型カルシウムチャネルが増加する可能性が機能的な面からも裏付けられた。これまでGVIAの生体投与に関して文献的にはその毒性が報告されているに過ぎなかったが、毒性発現には閾値が存在し、それ未満の量で鎮痛作用が認められることが判明した。 今後クロニジン耐性との比較によるさらに詳細な検討と、P、Q型カルシウムチャネルについて各ブロッカーを用いた同様の実験によるN型カルシウムチャネルとの比較により、耐性形成に関与するチャネルがN型以外に存在する可能性を調べる予定である。また、GVIAの鎮痛作用とモルヒネ耐性回避効果についてさらに検討を加える。
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