研究課題/領域番号 |
10671878
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
原田 利夫 島根医科大学, 医学部, 助教授 (90135921)
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研究分担者 |
松田 源 島根医科大学, 医学部, 医員
成相 義樹 島根医科大学, 医学部, 医員
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 口腔粘膜難治性疾患 / 口腔扁平苔癬 / 活性酸素 / スーパーオキサイド / ビスコクラウリン型アルカロイド / サイトカイン |
研究概要 |
一般に生体内において、好中球は刺激物に応答して種々の代謝変化を示す。そのうちNAD(P)Hオキシダーゼによって過剰のスーパーオキサイド(O_2^-)が生成されると炎症性反応を示し、特に自己免疫疾患と呼ばれる難病類は絶えず供給される抗原-抗体複合体の刺激の結果、(O_2^-)が生成され続けるために生ずるとされている。この過程において炎症前駆性サイトカインといわれているTNF-α、IL-Iα、IL-Iβ、IL-6やG-CSFなどのサイトカインも重要な役割を担っていると考えられる.一方、ビスコクラウリン型アルカロイド(BA)は各種口腔粘膜疾患に有用であるとの報告もなされている。そこでわれわれは、口腔粘膜難治性疾患の発生機序を解明するために、主として口腔扁平苔癬(OLP)にBAを投与することにより末梢血好中球の活性酸素の一つであるO_2^-産生能ならびにO_2^-産生に関与する可能性が高いと考えられる各種サイトカインレベルの臨床経過に伴う変動を検討した。その結果、下記の結論を得た。 1)慢性再発性アフタ、放射線性口腔粘膜炎、OLP患者に対するBAの投与は臨床的に有用であり、特にOLP患者のBA投与前と投与中や投与後の臨床症状改善度の間には統計学的有意差(P<0.0001)が認められた。 2)OLP患者の臨床症状改善時にはBA投与前値に比べて投与中や投与後に末梢血好中球のO_2^-産生能の有意の抑制が認められた。 3)OLP患者に対するBA投与による臨床症状の改善時には、血漿中TNF-α、IL-βの低下傾向(それぞれP=0.12,P=0.09)が観察されるようである。 以上より、OLPの発症過程においては、末梢血好中球のO_2^-過剰産生と炎症前駆性サイトカインであるTNF-α、IL-βなど、ある種の血漿中サイトカインが深く関与している可能性が示唆された。しかし、その他の口腔粘膜難治性疾患の発生機序に関しては、なお、この研究の課題である。
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