当科ではブレオマイシンの誘導体であるペプロマイシン及びシスプラチンなどに対する抗腫瘍効果を無血清培養下で検索し、扁平上皮癌細胞は唾液腺癌細胞よりシスプラチン耐性を示すことを報告してきた。また扁平上皮癌細胞膜と同組成のリポソームに抗腫瘍剤を封入することでその抗腫瘍効果が増強されることを報告した。そこでタキソールに対する口腔領域由来癌細胞の殺細胞効果を無血清培養下で検討し、シスプラチンに耐性を示す口腔癌細胞に対しタキソールが抗腫瘍効果を示すかを検索した。その結果、タキソールは培養口腔癌細胞に対して強い抗腫瘍効果を示すことが明らかとなった。またその増殖抑制曲線からシスプラチンや5-FUのような従来の抗癌剤とは異なるメカニズムであることが推察された。さらに、癌抑制遺伝子であるp53とRb遺伝子変異とタキソール感受性について現在検討中である。今後タキソールによってアポトーシスが誘導されるかについてTUNEL法を用いて検討する予定である。
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