研究課題/領域番号 |
10671885
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
中西 宏彰 徳島大学, 歯学部, 助手 (00243717)
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研究分担者 |
石川 邦夫 徳島大学, 医学部, 助教授 (90202952)
武知 正晃 徳島大学, 歯学部, 助手 (00304535)
藤澤 健司 徳島大学, 歯学部, 助手 (40228979)
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キーワード | アパタイトセメント / アパタイト / 骨置換型 / 炭酸水素ナトリウム / 破骨細胞 |
研究概要 |
アパタイトセメントは、硬化するとハイドロキシアパタイトを形成するため、優れた生体親和性を示し、長期的にではあるが骨と置換するという報告がある。アパタイトセメントと骨との置換をより迅速に行われるように改良することは、臨床応用上有益である。そこで今回、アパタイトセメント硬化体を炭酸アパタイトに誘導することにより、破骨細胞による吸収活性を高めることにより、骨置換型の炭酸含有アパタイトセメントを試作し、そのセメント特性について検討した。 セメント粉末および練和液中に炭酸水素ナトリウムを添加し試料を試作した。その試作セメントの硬化体は、粉末X線回折にてアパタイトに変換し、炭酸含有アパタイトを形成することが分かった。さらにフーリエ変換赤外分光測定装置による測定の結果、形成された炭酸含有アパタイトは、Bタイプカーボネイトアパタイトを形成していることが分かった。また硬化時間、機械的強度、結晶性の測定を行った。その結果、炭酸水素ナトリウムの添加量に伴い硬化時間はやや遅延し、機械的強度は小さくなったが、結晶性は低くなった。続いて破骨細胞の形成するラッフルボーダーをin vitroで模倣した疑似ラッフルボーダー実験を行った。pHスタットの酸滴定速度から試料の酸に対する溶解速度を定量的に測定した。その結果、本試料は破骨細胞が形成するpH5.5において十分な溶解性を示した。以上の結果より、従来のアパタイトセメントと比較して、より迅速に骨置換の可能性が高い骨置換型の炭酸含有アパタイトセメントを作製することが可能となった。この試料を用いて、実験動物の顎骨および大腿骨に人為的な骨欠損を作製し、埋入実験を行った。今後、経時的にこれらの試料を周囲組織とともに一塊として摘出した後、脱灰および非脱灰組織切片を作製し、炭酸含有アパタイトセメントの骨および軟組織に対する組織学的検討を行う予定である。
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