口腔癌の顎骨浸潤における腫瘍由来IL-6の役割

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10671886
• 研究機関: 徳島大学
• 研究代表者: 岡本 正人 徳島大学, 歯学部, 助手 (10243718)
• キーワード: 口腔癌 / IL-6 / 骨浸潤 / 破骨細胞 / 骨吸収 / 遊走能

研究概要

平成11年度は、まず初年度行ったin vitro実験が、再現するか否かを検証する事から始めた。これは、次の動物実験に進むにあたって欠く事のできないステップである。なぜなら、動物実験には、膨大な時間、労力そして費用がかかるため、本研究が動物実験を行うに価するか否かを充分にin vitroで検証しなければならないからである。再検の結果、口腔扁平上皮癌細胞BHYが産生するIL-6は、破骨細胞の遊走ならびに骨吸収能を有意に増強させた。そこで我々は次に動物実験を計画した。 BHYはヒト歯肉由来繊維芽細胞(GF)と共にヌードマウス咬筋内に移植する事により下顎骨への浸潤を認める。この事をまず前実験により確認した後、これらのヌードマウスに抗ヒトIL-6中和抗体を投与した。3ヶ月後にマウスを屠殺し、肉眼的および病理組織額的に検索した所、抗IL-6抗体を投与されたヌードマウスにおいてはBHYの下顎骨浸潤はほとんど認めなかった。生理食塩水あるいは非免疫抗体を投与されたコントロールマウスにおいては、BHYの下顎骨浸潤の抑制は全く見られなかった。すなわち、口腔扁平上皮癌細胞の顎骨浸潤に腫瘍由来のIL-6が重要な役割を担っている事が強く示唆された。我々は、口腔癌細胞由来IL-6の骨浸潤に及ぼす影響を、さらに詳細に検索するため、BHYにアンチセンスオリエントIL-6発現ベクターを導入し、IL-6非産生BHY既に樹立し、これを用いてin vitroならびに動物実験を施行中である。

研究成果

• [文献書誌] OKAMOTO,M.,et.al.: "Interleukin-6 and epidermal growth factor promote anchorage-independent growth of irmnoytalized human prostatic epithelial cells treated with N-methyl-N-nitrosourea."Prostate. 35. 255-262 (1998)
• [文献書誌] OKAMOTO,M.,et.al.: "Antisense RNA-mediated reduction of p53 induces malignant phenotype in nontumorigenic rat urothelial cells."Carcinogenesis. 19. 73-79 (1998)
• [文献書誌] OKAMOTO,M.,et.al.: "Cis-diammindichloroplatinum and 5-Fluorouracil are potent inducers of the cytokines and natural killer cell activity in vivo and in vitro."Cancer Immunul.Immunother.. 47. 233-241 (1998)
• [文献書誌] OKAMOTO,M.,et.al.: "Cyfokire-inducing and anti-tumor effect of liposome incorporated interferon-γ-inducing molecule derived from ok-432."J.Immunother.. (in press). (2000)
• [文献書誌] OKAMOTO,M.,et.al.: "Mechanism for bone invasion of Oral Cancer Cells mediated by Interleukin-6 in vitro and in vivo."Cancer. (in press). (2000)