研究概要 |
神経切断後の末梢神経再生における酸性複合糖脂質ガングリオシドの作用機構解析のため、ラット舌下神経切断モデル、および、われわれが開発した遺伝子導入マウスを用いた以下の実験を行った。 1) 牛脳から抽出した混合ガングリオシドの組成について検討し、aシリーズのガングリオシド(GM1、GD1a)および、bシリーズのガングリオシド(GD1b、GT1b、GQ1b)の発現が確認できた。 2) 混合ガングリオシドの至適濃度を検討したところ(0.002μg,0.02μg,0.2μg,2μg)、濃度依存的に神経再生促進効果が認められた。 3) 混合ガングリオシドの有効な投与部位を検討したところ、神経切断端および舌内投与において神経再生促進効果が認められた。 4) 合成ガングリオシドGT1bの末梢神経再生における効果を検討したところ、牛脳から精製したガングリオシドGT1bと同程度の神経再生促進効果が認められた。 5) 複合ガングリオシド欠損マウス、つまり、bシリーズのガングリオシド(GD1b、GT1b、GQ1b)の発現が減少したマウスを用いて、舌下神経切断モデルによる末梢神経再生効率を測定したところ、野生型マウスに比べ、神経再生遅延が認められた。
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