研究概要 |
平成10年度に引き継き,運動神経切断後の末梢神経再生における酸性複合糖脂質ガングリオシドの作用機構解析のため,ラット舌下神経切断モデル、および、われわれが開発した遺伝子導入マウスを用いた以下の実験を行った。 1)合成ガングリオシドGT1bおよびGD1bの運動神経切断後の末梢神経再生における効果を検討したところ、ウシ脳から抽出・精製した酸性複合糖脂質ガングリオシドGT1bおよびGD1bと同程度の神経再生促進効果が認められた。 2)ウシ脳から抽出・精製した中性糖脂質の運動神経切断後の末梢神経再生における効果を、ウシ脳から精製した酸性複合糖脂質ガングリオシドGT1bおよびGD1bと比較検討したところ、酸性複合糖脂質ガングリオシドGT1bおよびGD1bに比べ神経再生遅延が認められた。 3)合成ガングリオシドの構成成分であるオリゴ糖、およびセラミドの運動神経切断後の末梢神経再生における効果を検討したところ、GT1bオリゴ糖で70%の、GD1bオリゴ糖で45%の、さらに、セラミドで15%の神経再生が認められた。 4)酸性複合糖脂質ガングリオシドGM2/GD2合成転移酵素過剰発現マウス、つまり、aシリーズの酸性複合糖脂質ガングリオシド(GM2、GM1、GD1a)の発現が増加し、bシリーズの酸性複合糖脂質ガングリオシド(GD2、GD1b、GT1b、GQ1b等)の発現が減少したマウスを用いて,舌下神経切断モデルによる運動神経切断後の末梢神経再生効率を測定したところ、 野生型マウスに比べ、神経再生遅延が認められた。
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