神経切断後の末梢神経軸索再生における酸性複合糖脂質ガングリオシドの作用機構解析のため、ラット舌下神経切断モデル、および、われわれが開発した遺伝子導入マウスを用いて以下の実験を行った。 1)神経軸索再生効率が高値を示した牛脳から抽出したbシリーズのGT1bおよびGD1bと、合成のGT1bおよびGD1bを比較検討した結果、神経切断後の神経細胞数とHRP陽性神経細胞数に有意差は認められなかった。 2)GT1bおよびGD1bにおいてガングリオシドの基部であるセラミドと糖鎖の部分であるオリゴ糖における効果を検討したところ、神経切断後の神経細胞数とHRP陽性神経細胞数はセラミドに比べ有意に高値を示した。 3)舌下神経切断後の末梢神経および中枢神経における酸性複合糖脂質ガングリオシドの発現様式を免疫組織化学的手法および薄層クロマトグラフィーにて検討した結果、末梢神経切断部位でGM1の発現が認められ、中枢神経部位つまり延髄の舌下神経核部位の軽度のGM1とGM2の発現が認められた。
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