研究概要 |
西洋ワサビhorseradish peroxidase (HRP)の神経軸索逆行性輸送を利用したラット舌下神経切断モデルを開発後、神経切断後の末梢神経軸索再生における外因性酸性複合糖脂質ガングリオシドの作用機構解析を行った。牛脳から抽出した混合ガングリオシドの組織成分を検討した結果、aシリーズのガングリオシド(GM1、GD1a)および、bシリーズのガングリオシド(GD1b、GT1b, CQ1b)の発現が確認できた。混合ガングリオシド(0.002μg、0.02μg、0.2μg、2μg)の神経切断後の神経再生におよぼす効果についての検討したところ、濃度依存性に神経再生促進効果が認められた。混合ガングリオシドの有効な投与部位を検討した結果、神経切断端および舌内投与において神経再生促進効果が認められた。牛脳から抽出した各種ガングリオシド(GM1、GD1a、GD1b、GT1bおよび、GQ1B)の末梢神経軸索再生における効果を検討したところ、bシリーズのGT1bの神経軸索再生効率が最大であった。酸性複合糖脂質ガングリオシドの基部であるセラミドと中性糖脂質の末梢神経軸索再生における効果を検討したところ、酸性複合糖脂質ガングリオシド各種に比べ神経再生効率は低下するも、それぞれ単独で舌下神経切除後の神経細胞死の抑制および神経軸索伸長促進効果が認めらた。GT1bおよびGD1bにおいてガングリオシドの基部であるセラミドと糖鎖の部分であるオリゴ糖における効果を検討したところ、オリゴ糖投与群では神経切断後の神経細胞数とHRP陽性神経細胞数はセラミド投与群に比べ有意に高値を示した。
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