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1998 年度 実績報告書

口腔前癌病変の癌化予測のための遺伝子解析

研究課題

研究課題/領域番号 10671893
研究機関鹿児島大学

研究代表者

山口 孝二郎  鹿児島大学, 歯学部, 助手 (00210360)

研究分担者 國芳 秀晴  鹿児島大学, 歯学部附属病院, 助手 (50244249)
向井 洋  鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (20117550)
キーワード口腔前癌病変 / 口腔癌 / 癌化 / K-ras / 3p / 17p / 18q / p53
研究概要

口腔前癌病変は、その約4〜5%内外が口腔癌に移行すると言われている.その癌化のメカニズムおよび前癌病変の潜在的悪性化能を解析することを目的として、平成10年度は、HE染色で確定診断の得られた治療前の口腔癌6症例、口腔粘膜上皮異形成5症例について以下の項目で遺伝子検索を行った.
〈患者背景〉1) 口腔粘膜上皮異形成5症例の内2例は口腔癌を同時に併発していた.検索組織は口腔癌組織より20mm以上離れた異形成部分より採取された.2) 口腔癌6症例の内2例が重複癌(食道癌)症例であった.そのうち1例は口腔癌発症の約2年前に食道癌の切除術を受けており、1例は口腔癌手術後の食道鏡検査にて3個の食道癌が確認された.
〈遺伝子検査項目〉1)K-ras codon12点突然変異、2)ゲノム不安定性試験 RER/LOH:2p,3p,l7p,18q、 3)p53点突然変異:exon5,exon6,exon7,exon8
〈結果〉1)K-ras codon 12点突然変異については、口腔癌症例、上皮異形成症例ともに異常は認められなかった.
2)ゲノム不安定性試験については,口腔癌では6例中3例(50%)に異常がみられ、上皮異形成症例では5例中1例(20%)に異常が認められた.異常の内訳は口腔癌症例では3p LOHl例(16.7%)、17p LOH3例(50%)、18q LOHl例(16.7%)であった.上皮異形性症例では1例(20%)に17p RER、17p LOHの両方が認められた. 3)p53点突然変異は口腔癌では6例中3例(50%),上皮異形成5例中1例(20%)に異常が認められた.異常の内訳は、口腔癌ではexon5,7,8に各1例ずつ(16.7%),また、上皮異形成ではexon 5に1例(20%)点突然変異が認められた.
〈考察〉
1)口腔癌,および上皮異形成にK-ras codon12の点突然変異は関係が無いと思われた.2)ゲノム不安定性試験の結果より、上皮異形成において,17pのRER/LOHが認められ、口腔癌では50%の高頻度になることより、上皮異形成から癌化への過程で、17pのゲノム不安定性が関与すると思われた.また、口腔癌では3p、18qのLOHも検出されておりミスマッチ修復の異常、なども癌化の要因であると思われる.3)p53の点突然変異が上皮異形成の20%に見られ、口腔癌では50%の高頻度になることより、癌化の過程では,p53の異常が関与する事が
示唆された.また、p53は遺伝子座が17pであり、文献的には17pのLOHはほとんど、p53の異常を伴っていると言われており、このことからも、p53の異常が、上皮異形成から癌化への過程で密接に関与する事が示唆された.今後も症例を重ね、また、免疫組織化学的検索を加えて検討を続ける予定である.

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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