研究課題/領域番号 |
10671896
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
川上 哲司 奈良県立医科大学, 医学部・口腔外科, 講師 (60254512)
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研究分担者 |
吉原 紘一郎 奈良県立医科大学, 医学部・生化学, 教授 (70075042)
杉村 正仁 奈良県立医科大学, 医学部・口腔外科, 教授 (20028749)
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キーワード | マトリックスメタロプロテアーゼ / 蛍光基質ペプチド / エンザイモグラフィー法 / 顎関節症 / ウエスタンブロット法 / 関節炎マーカー / 活性型MMP-3 |
研究概要 |
近年、炎症を起こした関節の滑液中には、蛋白分解酵素である活性化されたマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が検出されることから、顎関節症の発症にMMPが関与する可能性が提唱されつつある。われわれは、顎関節症患者より採取した滑液について蛍光基質ペプチドを用いたMMP活性の測定を行い、エンザイモグラフィー法およびウエスタンプロット法による解析結果と比較検討することで、本測定法の有用性を検討した。 顎関節症患者より採取した滑液において蛍光基質ペプチド分解活性の亢進が認められた。この活性亢進は、顎関節部疼痛や顎関節滑液の貯留を認めた症例において有意に高いことから、本活性が顎関節炎と密接に関連することが示唆された。 ウエスタンブロット法により顎関節滑液中に潜在型MMP-1、活性型MMP-2、潜在型および活性型MMP-3の存在が示された。特に活性型MMP-3を有する検体では、蛍光基質ペプチド分解活性も非検出群に比べて高い傾向を示すことから、顎関節症患者の滑液中には少なくとも活性化したMMP-3の増加に伴う蛍光基質ペプチド分解活性の亢進が起こっていると考えられた。さらに、活性型MMP-3は顎関節に炎症所見を認める検体に多く検出されたことより、活性型MMP-3は顎関節における炎症マーカーとなりうることが示唆された。 蛍光基質ペプチドを基質としたMMP活性測定法は、顎関節症における関節炎マーカーとしてのMMP活性を測定する手段として有用であることが示唆された。
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