1.抗-Fas抗体で処理した末梢血好中球は、細胞接着を減少した。好中球の抗-Fas抗体処理によって細胞膜抗原のCD11a、CD15、CD62Lの発現は減少し、CD11b、CD11c、CD18の発現は増加したが、CD31の発現に変化はなかった。これらの接着分子の発現変化は、走化性因子(FMLP、C5a、PAF、LTB4、IL-8)の存在下でより顕著であった。また、走化性因子の刺激後に抗-Fas抗体を加えると好中球のアポトーシスは亢進したが、Fas抗原の発現に変化はなかった。 2.顎矯正手術患者の術後翌日の好中球及び血漿成分は、Caspase-8及び-3の活性低下好中球のFas抗原やFLIPの発現強度は変化しなかったが、細胞内のグルタチオン濃度に変化がみられた。更に、急性炎症期の血漿成分にグルタチオンとサイトカインの増加がみられ、サイトカインの中和抗体の添加によってアポトーシス抑制効果は減弱した。次に、培養液中にグルタチオン或いはNACを加えると、同様にCaspase-8の上流で好中球のFas依存アポトーシスの抑制が認められた。 3.HL-60白血病細胞の好中球への分化誘導(DMSO、RA)によって抗Fas抗体によるアポトーシス感受性の亢進がみられた。分化誘導によってFas抗原の発現増強とともに細胞内のグルタチオン濃度とFLIP発現強度の減少がみられた。
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