研究概要 |
日本歯科大学新潟歯学部付属病院第2口腔外科において過去5年間に治療を行った口腔癌患者59例の初回生検時標本について抗CD31モノクローナル抗体を用いた免疫染色により腫瘍血管新生と遠隔臓器転移との間に有為な関連があり,遠隔臓器転移の予測因子として有用であることを平成11年の第44回日本口腔外科学会総会において報告した.また,腫瘍血管新生,癌抑制遺伝子p53,組織学的悪性度と頸部転移,5年生存率との関連について平成12年の第45回日本口腔外科学会総会において報告した. 血清中のAngiostatinの単離と濃度測定を試みたが,plasminogen levelが高く不可能であった.1999年にLinderら(Kalrolinska Institute)は尿中のアルブミン濃度がAngiostatin濃度と有為な関連(p=0.003)があると報告した.この報告をもとに口腔領域悪性腫瘍8例10検体の尿中のアルブミン濃度について測定したところ肺転移をきたした症例ではAngiostatinと有為な関連があるとされる尿中のアルブミン濃度が手術前に異常高値を示し,手術後に改善傾向を認めた.このことから腫瘍が摘出されたことにより,腫瘍血管新生因子のみならず抑制因子であるAngiostatinが産生されなくなり,転移巣での血管新生因子と血管新生抑制因子の両者の均衡の状態が崩れたために肺転移が顕在化したこと考えられた. Angiostatinと尿中のアルブミン濃度と遠隔転移との関連については平成13年の日本口腔外科学会総会において報告する予定である.また,Angiostatinモノクローナル抗体(GF47)を用いた免疫染色を行っており,腫瘍におけるAngiostatinの局在と尿中のアルブミン濃度,遠隔転移との関連について検討しており,日本口腔外科学会総会において報告する予定である.
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