研究概要 |
(1)生検侵襲により癌細胞播種の可能性を検討するために,サイトケラチン19を指標とした末梢血癌細胞の検出をRT-PCR法により行なった.その結果,良性病変での上皮細胞の播種は認められなかったが,組織内生検を行なった10例中2例において生検後15分の時点で末梢血中に癌細胞が検出された.一方,安全域をもって切除するexcisional biopsyや根治切除の際には癌細胞の播種は認められず,生検侵襲により転移を助長している可能性があり,生検前からの抗癌剤の投与の有効性が示唆された. (2)癌患者への侵襲,ストレスとNK活性との関連を検討したところ,癌患者では進行癌ほどNK活性が低値を示しており,また"癌を心配している"あるいは"癌である"という精神的ストレスがNK活性を低下させることが認められ,各検査や治療の侵襲を最少限に抑えるとともに,癌告知を含めた心身医学的ケアの重要性が示唆された.
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