研究概要 |
(1)生検侵襲により末梢血中へ癌細胞播種が起こっているのか,生検前後,根治的手術前後において末梢血を採取し,サイトケラチン19を指標としたRT-PCR法により血中の上皮細胞の検出を行った.良性疾患にて切除を行ったコントロール群では切開により上皮細胞の末梢血への播種は認められなかった.しかし,組織内生検を行った口腔扁平上皮癌ではその20%において生検開始15分の時点での末梢血中に癌細胞が検出された.これは一過性で30分後には陰性化していた.一方,Excisional biopsy施行例や根治的切除では末梢血中への癌細胞播種は認められなかった. (2)癌細胞播種陽性例では肺転移などの遠隔転移が認められた.また,Excisional biopsy群では組織内生検群に比較して有意に頸部リンパ節転移が少なかった.さらに,生検前より抗癌剤を併用することにより頸部リンパ節への後発転移も減少し,口腔癌の低侵襲性治療としてExcisional biopsyの有用性が示唆された. 2.口腔癌におけるストレスとNK活性に関する検討 (1)初診時癌を心配して来院した症例や痛みを伴う症例においてNK活性は有意に低下して板.また,進行例においてもNk活性は有意に低下しており,ストレスによる免疫能の低下が癌の進展に関与していることが示唆された.
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