圧電セラミック素子をセンサー部に利用した硬さ知覚用触覚センサーが開発された。最近小型化が可能になり、先端が0.5mmの半球状のセンサーを試作した。口腔内に応用するに当たって、歯牙硬組織の硬度を測定できるかどうか調べた。このセンサーは固有の振動数で振動しておリ、対象物に接触すると固有振動数が変化し、この変化量で対象物の硬さを測定する。 歯牙硬組識に対しては40g程度の荷重をかけて測定することが必要であることが明かとなった。この荷重の下、健全エナメル質から人工エナメル質齲蝕の硬さを触覚センサーと微小硬度計を用いて測定した。この結果、荷重25、50、70gにおいて、触覚センサーによって得られた値は、ヴィッカスー硬度の圧痕の対角線の長さと有意な一次相関をもち、相関係数も0.92と非常に高いことがわかった。また、歯牙硬組識の中でもっとも硬いエナメル質から、もっとも柔らかい軟化象牙質まで測定することが1つのセンサーで可能であることがわかった。この結果は現在投稿準備中である。 口腔軟組織に対しても同装置によリ、硬さが測定できないかどうか調べる目的で、ラバー系の印象材を用いてln vitroで硬さを測定した。硬さの異なる三種類の印象材(ハード、レギュラー、インジェクションタイプ)でブロック状の試験片を作製し、荷重を変えて硬さを測定した。同一の試験片を明石社製ゴム硬度測定器ハードマチックHH-300型を用いて測定した。ゴム硬度測定器では硬さの異なる三種類の印象材の硬さを識別できたが、触覚センサーでは識別できなかった。以上の結果は、試作した先端が0.5mmの半球状のセンサーでは、歯牙硬組織の硬さを測定することはできるが、軟組織はできないことを示している。
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