研究概要 |
本研究の目的は、成熟度指標としての「頚椎年齢」の確立と,頚椎年齢を用いた下顎骨成長予測式を作成することである. まず,7〜15歳の女子200枚のセファロを用い,セファロ上の第3および第4頚椎椎体に8つの部位を計測した.それらの計測値の比率をパラメータとして,頚椎年齢を求めるための重回帰式を求めた.回帰式は以下の通りである. 頚椎年齢=0.80+6.05×第3頚椎前部高(AH)/前後径(AP)+9.63×第4頚椎AH/AP 次に,求めた重回帰式の信頼性を検討するために,別資料である女子66名のセファロおよび手部X線写真を用いた.頚椎年齢および骨年齢を算出し,頚椎年齢と骨年齢,頚椎年齢と暦年齢の相関係数を求め,各相関係数間の比較を行った.その結果,頚椎年齢と骨年齢との相関係数は,頚椎年齢と暦年齢との相関係数よりも有意に高かった.したがって,頚椎年齢は有用な生理的年齢であると考えられた. 第三に,下顎骨残余成長量の予測に対する検討を行った.初診の暦年齢が7〜12歳であり,成長終了後の資料が存在しており,顎整形力を適用していない女子21名のセファロを用い,初診時の頚椎年齢と下顎骨全体長(Cd-Gn)を測定した.その結果から,下顎骨残余成長量を目的変数に,頚椎年齢を説明変数にして以下の下顎骨残余成長量予測式を完成させた. 下顎骨残余成長量=-2.63+36.85×頚椎年齢 最後に,パターンマッチングを頚椎年齢の自動評価に応用するための技術的な検討をするため,手部X線写真からの骨年齢自動推定の検討を行った.その結果,この技術が頚椎年齢の推定に応用できることが確認された.
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