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口腔外傷により脱臼した歯は予後観察中に歯髄腔の狭窄をきたすことがしばしば観察される。こういった歯髄の変化がどの様な過程を経て発生しているのかを、齧歯類を用いた歯髄の移植実験を応用して検索した。なお、歯髄は結合組織中に移植すると異所性に石灰化、もしくは骨形成を誘導することが、これまでの研究により明らかにされている。
平成10年度研究では、まず歯髄の異栄養性石灰化を発生させる実験条件の確率を目指した。その研究により、移植後1週間で、ほぼ確実に石灰化する条件を確立した。そこで、平成11年度はこの実験条件にしたがって、ラット切歯歯髄を頭部皮下に同種移植し、0〜16日後にこれを周囲組織とともに摘出した。これらの摘出試料から組織切片を作成し、まず組織化学的観察を行った。次いでOsteopontin(OP)とBone Sialoprotein(BSP)の遺伝子の発現をin situ hybridization法により観察した。その結果、術後3日目から石灰化が始まり、その過程にBSPおよびOpの遺伝子発現が大きく関与していることがわかった。これらの過程は正常象牙質の石灰化や、他の軟組織の異栄養性石灰化のものと異なっており、歯髄に特有のものであることが示唆された。
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