研究課題/領域番号 |
10671926
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大山 紀美栄 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (90014216)
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研究分担者 |
鈴木 聖一 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (90187732)
黒田 敬之 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10013939)
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キーワード | 胎仔外科 / レーザー / 先天奇形 / 実験動物モデル |
研究概要 |
平成10年度は、子宮内手術法を用いて顎骨の著しい非対称や、上下顎の不調和など顎顔面領域に限局した先天奇形を発現する実験動物モデルを作製し、出生前における奇形発現の様相について観察する事を目的として実験を行った。 まず、当教室において開発したレーザー胎仔外科の手法を用いてマウス胎児の口唇部に熱傷を作製した所、出生後口唇部の軟組織に非対称を示す動物を得る事ができた。しかしながら、生後1ケ月における軟X線写真による観察では、これらの形態異常は軟組織に止まっており、骨格における変形は殆ど認められなかった。よって本法では生後の発育において顕著な形態異常の発現が期待できないと考え、新たに電気メスを用いた胎仔外科の手法の開発に着手した。今回は、胎仔外科用に直径0.2mmのシリコンコーティングしたプローブを装着した電気メスを新たに作製し、実際に胎仔手術において使用を試みた。実験には胎齢14日のマウス胎仔を用い、胎仔を羊膜に包まれた状態で子宮より摘出し、電気メスのプローブを羊膜に穿孔させ、その先端を胎仔の口唇部に接触する事により同部位に熱傷を作製した。胎仔を母獣の腹腔のもどして妊娠を継続させた後、胎齢18日に同胎仔を摘出し、同日出産した継母に育成させた。この間、胎仔期に作製した熱傷の様相について経時的観察を行った。現在、生後2週間を経過しているが、レーザーを用いた場合と比較してより広範囲に洞毛の喪失等が見られ、本法によっても胎仔に外科的な侵襲を与えられる事が明らかとなった。プローブの使用は、その先端を胎仔組織に刺入する事で骨原基など硬組織に外科的浸襲を加える事も可能と考えられ、次年度は本法を用いて顎顔面奇形動物モデルを作製し、出生前および生後の発育様相について観察を行う予定である。
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