研究概要 |
顎関節症の病因やそれにもとづく発症機序については、顎関節症そのものの機能的な面、また、患者の精神的な面からのアプローチがなされているが、まだ不明な点が多い。顎関節症の病因や発症機序を解明することは、顎関節症の予防方法を考えるに非常に重要であろう。本研究にでは、顎関節症の発症は、顎関節が軽度の傷害を受けつつも治癒していく過程が阻害された段階で症状が固定化し、顎関節症が確立するのではないかという仮定のもとに質問紙調査を行い、この仮定の実証を試みることを目的とした。 そのため、一昨年度は、まず、質問紙を作成し、診査項目を決定した。質問紙には、顎関節の異常の有無とそれに対する対処方法などについての質問項目と、顎関節以外の体の不調の有無、不安の程度を調べる既成の心理検査を含めた。診査項目としては、顎関節雑音、顎関節部の圧痛、運動時痛などの診査、プレスケールを用いて咬合状熊と咬合圧を選択した。対象は、年齢を規定するために、大学1年および専門学校1学年に限定し、男女300名ずつの計600名について調査することを計画した。 結果として、一昨年度は約200名の調査が終了し、昨年度はそれに引き続いて、約300名を調査した。本年度も続いて調査し,最終的に887名を調査した。調査人数が予定より増えた理由としては,臨床検査の検者間の差が無視できなかったためと,被検者の年齢にばらつきがあったためである。得られた887名のデータについて、プレスケール上に印字された咬合状態と咬合圧は、すでに、全てコンピュータに取り込み、分析も終了している。質問紙の回答については、全てコンピュータへの入力が終了している。
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