研究概要 |
平成10年度の研究実績は、第一に必要とされた備品購入を済ませ、第二に同研究を支持するアメリカ、ミシガン大学歯学部教授 Dennis E.Lopatinと研究についての方法、特に今回研究に採用した免疫学的手法の妥当性について議論をかわすと共に、今後の計画について小児から思春期にかけての歯周病原因菌の動態が小児期から青年早期にかけていかなる役割を演じているか、今回の研究で明らかにする焦点についての展望を詳細に行った。そして今年度の目標である経時的資料のある6名について実際のデータ出しの試行とその結果から研究の方向性への妥当性を確認した。今年度の研究対象は、男子3名、女子3名の6年間におけるおのおの6回にわたる資料から経時的資料3回を使用した。研究方法は、抗原をPorphylomonus gingivalis, Actinobacillus actinomycetemcomitans,Fusobacterium.nucleatum,P.intermediusとして、血清資料を使用しELISAによりその被験者の各抗原に対する抗体価を計測すると共に、歯垢資料はSlot immunoblot Assay(SIB)によりcolony countを定性的に行った。その結果、各抗原とした細菌の感染は6歳未満にみられ、その後、IgGとしての抗体価は減少し、思春期において高くなる傾向が認められた。特に、6歳未満におけるIgMとIgGの抗体価間の違いは顕著で、IgMが明らかにいづれの抗原においても高い傾向を示したことは興味深い結果であった。現在(平成11年2月)対象者数を増やすため、当初の計画に従って、同様の計測を他の被験者を対象に進めている。
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