研究概要 |
当該科学研究費による研究成果は、第一に、横断調査ではあるが、down症児と健常児の集団を対象とし、BANA-testによる幼児から青年までの臨床所見との関係について、まとめを行った。その結果、定期検診における管理下におけるdown症児の状況は,歯肉炎の罹患状況は不良であるものの、Probing depth, BANA-test値は低い傾向を示し、定期管理における予防の可能性が示唆されるとともに、両群とも思春期での増悪がみとめ、経年的研究の基本的資料を提供した。更に、BANA-testによる健常児の経年的調査結果から,集団を対象とし評価した場合、BANA-testによる3年後の予測はむずかしい結果を得た。しかしながら、この資料から、思春期の歯肉炎の増加ならびに重篤化は、BANA-testのターゲットとなる細菌(Fusobacterium nucleatum, P gingvalis, Treponema denticola)との関係が示される結果を得ている。更に、ELISAによる研究では、個体差があるものの幼児期に、IgMにおいて、ActinobacillusactinomycetemcomitansとPorphylomonus gingivalisは標準とした健常成人値より全てが高いELlSA unitを示し、Prevonera intermediでは他2菌と比較し一定の傾向を認めない結果を得ている。なお、BANAの横断的研究結果は、英文論文投稿準備がすでにできており、BANAの経年的研究は14年度の小児歯科学会にてすでに学会発表登録を済ませている。経年的資料による免疫学的結果は、現在個別の臨床所見との合わせをし対象とした3菌の定着と臨床的所見との関係を検討している。
|