研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)は関節を主病変とし,全身の支持組織を多発性におかす慢性の炎症性疾患である。RA患者は随伴症状として口腔乾燥,閉口制限などが認められ,特有の歯科的な問題を多く有していると考えられるが,我が国のRA患者の口腔状態および顎関節に関する疫学的調査はほとんど行われていない。本研究は,RA患者の口腔内状態および顎関節所見を把握する目的で,某総合病院でRAと診断され,外来治療を受けているRA患者と同病院を人間ドックもしくは健康診断を目的として来院した非リウマチ患者を対象に調査を行い,総合的歯科診査および顎関節診査を行い,以下の結果を得た。 1.口腔ケアに対する意識や口腔乾燥感はRA患者とコントロール群では有意差は認められなかった。 2.D歯数,F歯数ではRA患者とコントロール群では有意差は認められなかったが,M歯数,現在歯数は有意にRA患者が少なく,パーシャルデンチャー,フルデンチャーの装着数は有意にRA患者に多かった。 3.RA者で閉口障害を認めた者は52%で,顎関節症と診断された者は68%であり,いずれもコントロール群より有意に多かった。 これらの結果から,RA患者は口腔ケアや口腔乾燥度に対して特に意識していないが、コントロール群に比較すると喪失歯が多く,顎関節の症状が多く認められることが明らかとなった。 今後はRAの重症度と口腔状態、顎関節との関係などについて分析する予定である。
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