研究概要 |
近年、幼若永久歯の外傷の頻度が増加している。幼若永久歯の歯内療法後(Apexification,Apexogenesis)の根尖閉鎖は、不明な部分が多い。そこで歯根の形成や根尖閉鎖に関与する象牙芽細胞層やせメント芽細胞層の石灰化(特に基質小胞性石灰化)を探索した。併せて石灰化を行わない永久軟骨である下顎頭関節軟骨や気管軟骨部の基質小胞についても検索した。 実験にはウシ歯胚を使用し、象牙芽細胞やセメント芽細胞層を分離後、Aliの方法に従いコラゲナーゼ処理後、分画遠心により基質小胞画分を調製した。得られた基質小胞画分を調製し蔗糖密度勾配遠心法により分画後、Alkaline phosphatase ALP)やLactate dehydrogenase(LDH)を指標酵素として検索した。その結果、歯胚の両層にはALP,LDHを含む基質小胞の外にLDHのみを含む小胞が存在した。また気管軟骨部や下顎頭関節軟骨部にはALP,LDHを含む基質小胞の外に密度の重いALP,LDHを含む基質小胞様小胞が存在した。またLDHのisoenzymeは、異なっていることを明らかにした。
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