研究概要 |
山形県米沢市では、平成7年度からの学校における健康診断の診査基準が改正され、新たに導入されたCOおよびGOに対し、精密検査と事後指導の受診を勧める「歯科受診のすすめ」を配布し、地域歯科診療所において対応することとした。 そこで、平成7年度から10年度の同市小学校全児童を対象に、う蝕罹患状況、CO・GO保有状況、CO・GO保有者の来院状況と精密検査結果、さらにそれらの経年的推移等の調査から新たな学校歯科保健への取り組み方について考察した。 平成7年度から10年度の米沢市の小学校全児童数は、それぞれ6,389名、6,288名、6,076名、5,987名で、各年度のCOの保有者率は、19.2、25.8、25.2、30.2%を占め、いずれも高率で約4人に一人が保有者であった。CO保有者の歯科診療所における精密検査結果では、COがCOと判定された歯は50.7、54.0、54.2、59.5%と経年的な増加傾向を示した。また、COがCと判定された歯は40.1、32.2、30.0、26.2%と経年次的に明瞭な減少傾向を示し、COを健全歯と判定された歯は9.2、13.8、15.8、14.3%であった。GO保有者の精密検査結果においても、GOがGOと判定された者は69.0、70.8、59.9、68.4%、G者と判定された者19.0、24.6、26.3、20.1%であった。これらの結果を踏まえてCOあるいはGOの保有者を学校の現場だけで適切かつ十分な対応を行うのは難しく、専門家による精密検査を行い、個々に適した事後指導を行う歯科保健の対応が必要と考えられた。さらにCOが検出基準に導入される前の全児童の一人平均DMF歯数(H5:2.3歯,H6:2.1歯)と、平成7年度以降の一人平均DMF歯数(H7:1.7歯,H8:1.4歯,H9:1.2歯,H10:1.0歯)では、経年的に明らかな減少が認められた。これはCOが健全歯と算定され、それが約30%近く検出される状況にあり、児童の一人平均DMF歯数に大きく影響を及していると思われた。
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