研究概要 |
平成7年度から新しく導入されたCO・GOの保有状況の実態を調査したところ,小学生のCO保有者は,平成7〜11年度の平均で26.5%と約4人に一人の割合で保有し、中学生では40.6%と約2人に一人の割合で保有していた.また、GOでは小学生17.6%、中学生で32.0%の者が保有していた。 学校検診でのCO・GOを歯科検診で精査した結果、小学生でCOのうち29.0%が齲歯と判定され、中学生では若干高く32.9%であった。GOの判定制度では小学生で約70%、中学生では約60%がGOと判定された。 CO導入後の齲蝕羅患状況は、平成7年度以降各学年とも一人平均DMF歯数が明確に減少し、この減少はCOを健全歯と算定することによるものと思われる。また、一人平均DMF歯数の減少に処置歯数の減少がもっとも大きく関与しており、歯科診療所でのCOの対応が適切になされていることが確認された。 さらに、COの一年後の変化について学年・性別にコホート観察をした結果、COの一年後の変動では、1年生から2年生にかけて齲蝕に変化する割合が50%以上と高く、その大半が第一大臼歯で、COの学年別出現状況と一致していた.COが齲蝕経験歯になる割合は上顎前歯<小臼歯<第一大臼歯の順に高く、健全歯への変化は逆であった。 各学年別にCOが齲歯に変化する歯種をみると、1、2年生では、第一大臼歯、3、4年生では上顎前歯、5、6年生では小臼歯であり、また上顎前歯・小臼歯の齲歯への移行は、男子より女子のほうが早かった。 このようにCOの1年後の動向から歯科保健対応のターゲットが明らかになり、きめ細やかな予防対応ができるものと期待される。従って、学校検診をスクリーニングと位置付け、二次検診に歯科診療所の精密検査が有効であり、地域歯科医療の連携に学校歯科保健活動が中核的役割を果たさなければならないと考えられる。
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