研究概要 |
1. 嚥下に適した食塊がどの様に形成されるのか、食塊水分量、粉砕程度、咀嚼筋活動量に着目し検討を行った。8名を被験者とし、試料は食塊水分量についてはビスケット、カステラ、ホットケーキ、米飯、粒コーン、リンゴを、粉砕程度についてはピーナツを用いた。被験者に各試料の一口量を一口量咀嚼時間で咀嚼させ、計量済みのトレーに吐き出させ、真空凍結乾燥を行い、嚥下時の食塊水分量を計算した。その間の咀嚼筋活動量の比較を行った。粉砕率はピーナツ2gを10、20、40回咀嚼させ、各10、20、40メッシュの篩いを通過させ、重量を測定した。その結果、食塊水分量は各試料とも咀嚼開始後1/3の時点で増加量が最も多く、その後は嚥下時まで規則的に増加していった。ピーナツ粉砕率では同一被験者の各篩いの通過率は嚥下時までの各時期で規則正しく一定した値を示した。咀嚼筋活動量は徐々に減少していくことが示された。 2. 食塊水分量と嚥下閾との関係について検討を行った。8名を被験者とし、クッキー(7g),米飯(10g)、ソーセージ(10g)を用いた。各一口量を自由咀嚼させ、嚥下閾に達した時点で計量済みのプラスチック容器に吐き出させるCewing spit法を行い、一口量咀嚼時間、嚥下時食塊水分量を求めた。唾液分泌量を塩酸ピロカルピン、硫酸アトロピンを用いて増減させて結果を比較した。その結果、唾液分泌量が減少した時は一口量咀嚼時間はコントロールに比較して有意に延長し、増加した時は短縮した。その時の嚥下時食塊水分量は何れもコントロールに比較して変化しなかった。したがって、人の嚥下閾には従来報告されている粉砕率に加えて、水分量も影響することが示された。 今年度予定していた咬合圧の測定についてはセンサーの改良に時間を必要としたため時年度に行い、変わりに次年度に行う予定であった(2)を今年度に行った。
|