研究概要 |
咀嚼中の食塊の粉砕率,水分量は継時的に変化し,ある一定の状態に達することによって嚥下が行われていることを前年度の研究で明らかにした.本年度は食塊のテクスチャーが咀嚼中どのように変化するかについて検討を行った。テクスチャーを測定する際にはプランジャー,シャーレ,圧縮率,測定速度,試料量などをあらかじめ設定して行う必要があるが,これらの条件が変わると測定値にどのように変化がみられるか検討を行った.その結果,テクスチャーを測定する際には前記の条件が測定値に大きく影響を与えており,目的に応じた条件設定を行うことが重要であることが明らかとなった. 食塊のテクスチャーのうちどのような特性が嚥下閾に関与しているのかについて,唾液分泌量を低下させた場合と正常な場合とで嚥下時の食塊の検討を行った.その結果嚥下時食塊のGumminess,Chewiness,Springinessの3つのテクスチヤーは唾液分泌量の変化に関わらず一定の値を示したことから,嚥下閾に関与する因子として重要であることが示唆された. 食物咀嚼中,連続した咬合圧を測定するために,歪み計を応用したバイトプレートを試作した.歪み計端子を埋め込むバイトプレートの厚さの影響を知る目的で,厚さ3.5mm,5.0mmのバイトプレートを通法により作成した.タッピングおよび噛み締めを行わせ,咬筋の活動電位を測定し,非装着時と比較した.その結果左右とも厚さ5.0mmのバイトプレートでは非装着時と有意差が認められたが,3.5mmプレート装着時では有意差はみられなかった.この結果,3.5mmの厚さのバイトプレートを装着して咀嚼を行っても,非装着時との変化は少ないとの結論に達した.
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