外傷受傷歯に生じた、乳歯歯冠変化および歯髄血流量を客観的に測定する目的で色彩色差計と透過型レーザー血流計を用い、昨年度に引き続き本研究を行ったところ、次の結論を得た。 色差計を用いた歯冠色の測定では、診断に際して撮影したX線所見と色差計の測色値との間には関連が認められ、また、長期的な観察を行った症例では、X線所見の変化に相関して色差にも変化が認めてれた。しかし、肉眼的な所見を測色値は必ずしも一致せず、色変化は外見からでは判断することが困難であることを裏付けた。さらにこれに随伴して調査を行ったX線所見と臨床所見とでは、必ずしもX線の所見が臨床症状を表していないものも認められた。 透過型レーザー血流計を用いた歯髄血流の測定では、昨年度に比較し、測定プローブの小型化を推進し、操作性の向上がなされた。本年度は、歯根の完成度と測定値の関係、測定値の日動変動、測定幅の意味するものなどについて検討を行い、多少の知見を得た。しかし、いまだ体動に対する問題点は解決されておらず、これに対する考案を検討中である。 現在まで数多くの症例について、横断的に検討を行うことが出来た.しかし、縦断的な検討を行い得たものは少なく、また期間も短い物が多い。次年度は最終年度でもあり、これらの点の検討を行って行く所存である。
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