研究概要 |
今年度は,デジタルX線画像の転送システムについて検討した。また,上下顎犬歯(上顎歯77例,下顎歯62例),ならびに下顎犬歯,下顎第一小臼歯および下顎第二小臼歯からなる下顎側方歯群210例の歯根部歯髄腔のデジタルX線画像計測を行い,それらの狭窄程度を指標とした年齢推定のための重回帰式を算出した。 ノート型PCに移管した歯科用デジタルX線撮影装置の画像管理プログラム上で作成した1口腔単位の歯のデジタルX線画像は,プログラムソフト自体がWeb対応していないため,そのまま画像転送することは不可能である。画像をハードコピーし,市販のEditorで一度読み込んだ後,JPEG形式で圧縮をかけてメールソフトに添付して送信するという手順を踏まざるを得ない。かつ,受信した画像は解像度が低く,歯髄腔や骨梁パターンを的確に把握することができない状況にある。実験の結果,現段階では230KBの歯のデジタルX線画像を1枚ずつ保存し,これを数枚ずつまとめて送信するしか方法はないことが判明した。 上下顎犬歯の歯根部歯髄腔の頬舌・45度・近遠心,計3方向のデジタルX線画像を用い,それらの狭窄程度を指標とした年齢推定のための重回帰式を算出した。加齢に伴う歯根部歯髄腔の変化は,特に第一小臼歯で歯髄腔の狭窄程度が最大であること,年代によっても変化の程度が異なることなどが確認された。実年齢と推定年齢との重相関係数は比較的高く,上顎犬歯で0.84,下顎犬歯で0.72,上下顎犬歯で0.78であった。また,推定誤差が±3歳以内の例数は上顎犬歯で32例(41.6%),下顎犬歯で22例(35.5%)および上下顎犬歯で47例(33.8%)であった。さらに,下顎側方歯群の頬舌方向の画像を資料として重回帰式を算出した結果,重相関係数は0.71,誤差範囲が±3歳以内の例数は64例(30.5%)であった。
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