第3臼歯に欠如歯を有するELマウスと欠如歯が認められない野生型マウスであるMSMマウスとの遺伝的交配実験を行ない、F2 intercrossおよびbackcrossマウスを作成した。 (1)(ELxMSM)×(ELxMSM)ならびに(MSMxEL)×(MSMxEL)の交配から110匹のF2 intercrossマウスが得られ、そのうちの10匹に欠如歯が認められた。F2 intercrossマウスにおける出現頻度は約9%であった。また、親系であるELマウス(10匹)では第3臼歯が4本欠如し、MSMマウス(10匹)では欠如歯は認められなかった。さらに、(ELxMSM)および(MSMxEL)のF1マウス21匹では欠如歯が認められなかった。 (2)(ELxMSM)×ELの交配から64匹のbackcrossマウスが得られ、そのうちの7匹に欠如歯が認められた。Backcrossマウスにおける出現頻度は約11%であった。また、親系であるELマウス(3匹)は第3臼歯が4本欠如し、MSMマウス(4匹)では欠如歯は認められなかった。さらに、F1マウス(ELxMSM)11匹では欠如歯が認められなかった。 以上の結果から、欠如歯成因には遺伝的要因の関与が大きく、遺伝形式は劣性であることが強く示唆された。しかしながら、backcrossマウスでの欠如歯出現頻度が低値を示したことから、関与する遺伝子がホモ接合であるとき、第3臼歯は欠如歯となるか、あるいは矮小歯となるという2つの表現型を有する可能性が示唆された。 (3)ELとMSMマウス間のpolymorphismを有するMIT markerの検出を進めており、現在までに1番から19番染色体すべてに2〜6個のmarkerを設定した。今後検出したinformativeなMIT markerを用いた連鎖解析を行なう予定である。
|