研究分担者 |
熊坂 純夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (10161697)
川瀬 俊夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (30084784)
内村 登 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (80104454)
齊藤 良幸 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (10277907)
松澤 光洋 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60288082)
|
研究概要 |
前年度の研究結果から,ヒト乳歯歯根膜線維芽細胞(HPLF-Y)およびヒト永久歯歯根膜線維芽細胞(HPLF)はマウス骨髄細胞(BMC)との共培養系において破歯細胞(破骨細胞)様細胞の形成に抑制的に作用しており,その抑制効果は細胞間の直接接触により著明となることが示唆された。今回,我々はHPLF-Y,HPLFに加えてヒト歯肉由来線維芽細胞(hGF),ヒト歯槽骨由来骨芽細胞(hOB)を用い,confluentな状態となる7日目まで単独で培養を行い,その後10nM 1α25(OH)_2 vitamin D_3 (D_3)および 10nM dexamethasone (Dex)存在下、さらに7日間BMCと非接触状態で共培養を行った。その結果,酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRAP)陽性の多核巨細胞(MNC)の形成数は,BMCの単独培養と比較してHPLF-YおよびHPLFとの共培養ではともに約40%,hGFでは約80%の抑制が認められた。一方,hOBとの共培養ではBMC単独培養の場合と比較して、TRAP陽性MNCの形成に有意な差は認められなかった。さらに、上記4種類の間葉系細胞の単独培養の期間に10nM D_3および10nM Dexを単独あるいは同時に添加し,7日間の共培養を行い同様にTRAP陽性MNCの形成数を計測した。その結果,TRAP陽性MNCの出現数は共培養前にD_3で処理した場合,hGF,HPLF-Y,HPLFおよびhOBのいずれの場合も,比添加群に比較して20〜30%の減少が認められた。また,Dexで前処理を行った場合,hOBおよびHPLF-Yではcontrol群と比較してTRAP陽性MNCの形成数に有意な差は認められなかったが,hGFでは有意に減少し,一方HPLFではhOBと同レベルまで増加した。この結果から破歯細胞(破骨細胞)様細胞の形成に対する歯根膜線維芽細胞の作用は乳歯と永久歯で,異なり,特にD_3やDex添加のような骨芽細胞様の性質を発現させるような刺激により,液性因子を介して破歯細胞の形成を調節する機能を有することが示唆された。
|