研究概要 |
本研究では,歯周炎における病態を解明する目的で歯周ポケット底部の接合上皮周辺に棲息している細菌をDANあるいはmRNAレベルで高感度にかつ特異的に検出することを目的としてin situ-PCR法の確立を試みた。まず,in situ-PCRの条件を検討するために,外科手術時に得られた歯肉上皮に既知の細菌を注入し,細菌侵入のモデルを作製し,この試料を用いて連続切片を作製した。Porphyromonas gingivalis,Actinobacillus actinomycetemcomitans,Treponema denticolaなど8菌種の歯周病関連細菌に対するプライマーを作製し,連続切片の半分に種々の条件でin situ-PCRを行い,残りの半分に免疫染色を施した。このモデル系においてin situ-PCR法の特異性および免疫染色法との感度の比較を行った。その結果,今回作製したプライマーはin situ-PCRにおいても菌特異的であり,免疫染色法よりもin situ-PCR法の方が検出感度がよいことが明らかになった。次に,本実験に同意が得られた患者から可及的に歯周ポケットを再現した抜去歯およびコントロールとして便宜抜去歯を試料として採取した。これらの試料を我々の方法(日歯周誌1994)に基づいて連続切片を作製した。この試料をモデル試料で確立したin situ-PCR法を用いて細菌を検出した結果,P.gingivalisが接合上皮周囲に認められたので,現在本菌の局在の解析を進めている。
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