研究課題/領域番号 |
10671968
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
中江 英明 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (30227730)
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研究分担者 |
川崎 有希子 徳島大学, 歯学部, 助手 (60294708)
湯本 浩通 徳島大学, 歯学部, 助手 (60284303)
吉山 昌宏 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (10201071)
清水 洋利 徳島大学, 歯学部, 助手 (70294709)
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キーワード | 歯周病関連細菌 / in situ PCR / RT-PCR / 接合上皮 / IL-8 / ICAM-1 / MAPキナーゼ |
研究概要 |
歯周病の病態を的確に捉えるためには、歯周ポケット接合上皮周辺の病態、すなわち歯周病関連細菌と接合上皮との関係、さらには上皮から惹起される接合上皮下の結合識との関係を明らかにしなければならない。 歯周病関連細菌Eikenella corrodensは上皮からインターロイキン6やインターロイキン8のような炎症性サイトカインを産生させることを明らかにした。この現象には、E.corrodensが直接的に上皮細胞に付着する必要はなく、E.corrodensの分泌物によっても起こることを明らかにした。 さらに、E.corrodensは上皮細胞に付着することにより、上皮細胞にICAM-1の発現を増強することを明らかにした。これは上記のサイトカインの誘導と異なり、E.corrodens菌体の上皮細胞への付着が必須であり、ICAM-1発現誘導因子は、E.corrodensの付着因子であるレクチン用物質(EcLS)であることを明らかにした。これは、細菌性レクチンが上皮のICAM-1を誘導するという数少ない報告の一つであると自負している。 ついで、E.corrodensが歯肉上皮細胞からcyclooxygenase 2(COX-2)の発現増強やプロスタグランジンE2の産生を増強することを明らかにした。これらの因子の発現には、E.corrodensが直接上皮細胞に付着しなくても生じること、すなわちE.corrodensが分泌する可溶化物質によるものであることを明らかにした。さらにこの物質の性状を探求していくと、未知の分子量10kDa以下の低分子量物質であることをつきとめた。 最後に、ICAM-1、炎症性サイトカインの上皮での産生機構を明らかにするために、E.corrodensが上皮に付着することにより生じる上皮細胞内のシグナル伝達機構の解明を試みた。Neisseriaなどでいわれているように、ICAM-1におけるE.corrodensによるシグナル伝達は阻害実験の結果、p38やp42/44MAPキナーゼが関与している系であることが明らかになった。
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